民泊の収支シミュレーション|稼働率と単価の置き方
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民泊の収支は「365日×稼働率」で計算すると過大になりがちです。住宅宿泊事業なら年180日が上限で、条例でさらに短くなる地域もあります。このページでは、販売可能泊数を先に決めてから稼働率を掛ける手順を、前提を明示した本稿の計算例で説明します。
この記事の要点
・販売可能泊数=制度の上限(年180日など)と条例の曜日・期間制限の小さい方。
・売上=販売可能泊数×稼働率×平均単価。
・手残り=売上−変動費(予約サイト手数料、清掃、消耗品)−固定費(家賃、光熱費、通信、保険、管理委託の固定分)。
・以下の金額・率はすべて計算方法を示すための仮の数字で、相場を示すものではありません。
ステップ1:販売可能泊数を決める
住宅宿泊事業の年180日は、4月1日正午から翌年4月1日正午までの1年間に、1泊を1日として数えます(観光庁FAQ)。条例による制限がある地域では、この180日より少なくなることがあります。
| 前提 | 年間の販売可能泊数(本稿の計算) |
|---|---|
| 旅館業(簡易宿所)の許可 | 営業日数の制限なし(観光庁の比較表)→ 最大365泊(休館日などを除く) |
| 住宅宿泊事業・条例の期間制限なし | 最大180泊 |
| 住宅宿泊事業・東京都中央区(土曜日正午〜月曜日正午のみ) | 1週間に土曜泊・日曜泊の2泊 × 年52週 ≒ 最大104泊 |
| 住宅宿泊事業・京都市の住居専用地域(1月15日正午〜3月16日正午のみ、例外あり) | 1月15日〜3月15日の宿泊で、平年は60泊(17+28+15) |
※中央区・京都市の数字は、各自治体の公表している制限期間から本稿が数えた概算です。祝日の扱いや例外の適用は自治体に確認してください。
ステップ2:稼働率と単価を置く
稼働率は「販売可能泊数のうち予約が入った割合」として置きます。365日に対する稼働率と混同すると、上限のある制度では売上を過大に見積もります。
本稿の計算例(前提はすべて仮の数字)
前提:住宅宿泊事業・条例の期間制限なし/販売可能泊数180泊/稼働率70%/平均単価(1泊あたり客室料金)12,000円/平均2泊で1予約/予約サイト手数料率は売上の15%と仮定/清掃・リネン1回6,000円と仮定/固定費 月80,000円と仮定
販売泊数:180×0.70=126泊 → 予約件数:126÷2=63件
売上:126×12,000=1,512,000円
変動費:手数料 1,512,000×0.15=226,800円、清掃 63×6,000=378,000円 → 合計604,800円
固定費:80,000×12=960,000円
手残り(税・借入返済前):1,512,000−604,800−960,000=−52,800円
この前提では、180泊の7割を売っても固定費を回収できません。同じ前提で販売可能泊数を104泊(中央区の上限の概算)にすると、売上はさらに減ります。逆に、固定費を下げる・単価を上げる・家主居住型で固定費の一部を生活費と分ける、などの見直しが必要だとわかります。
ステップ3:損益分岐の泊数を出す
1泊あたりの限界利益=単価−(単価×手数料率)−(清掃費÷平均泊数)。上の仮定では 12,000−1,800−3,000=7,200円。固定費960,000円÷7,200円≒134泊が年間の損益分岐点です(本稿の計算)。販売可能泊数180泊に対して稼働率約74%が必要になります。
損益分岐の考え方は民泊の損益分岐点、入力して試したい場合は稼働率・利益シミュレーターをご利用ください。
試算で見落としやすい項目
- 消防設備・家具家電・届出書類作成などの初期費用の回収期間
- 宿泊税を課す自治体での徴収・申告の手間
- 所得税・住民税(事業や雑所得の区分は税務署・税理士に確認)
- 管理業者への委託料(売上歩合か固定か)
- 空室期間の光熱費・通信費
相談先・申込先の選び方
試算の前提となる制度上の上限は、物件所在地の自治体窓口で確認します。運営代行や物件活用サービスに相談する場合は、本記事のように「販売可能泊数・稼働率・単価・手数料率・清掃費・固定費」を分けた見積もりを依頼すると、提案同士を同じ条件で比べられます。税金の扱いは税務署や税理士に確認してください。
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出典(一次情報)
- 観光庁 民泊制度ポータル「よくあるご質問」
- 観光庁 民泊制度ポータル「住宅宿泊事業法」の概要
- 中央区「中央区住宅宿泊事業の適正な運営の確保に関する条例」
- 京都市 住宅宿泊事業の手引き資料(PDF)
- 観光庁 民泊制度ポータル「民泊」とは(3制度の比較表)
上記はいずれも2026-10-12に内容を確認しました。制度・条例・様式は改正されることがあるため、手続きの前に必ず最新版を所管窓口で確認してください。
費用と条件を分けて、ひとつずつ確かめよう。